作業療法士による発達支援コラム 2025年11月号

運動に不器用さがあるお子さんについて

 

こんにちは。

こどもプラス川越 南大塚教室です🍁

 

今月は、体の動かし方にぎこちなさが見られ、運動に不器用さを抱えるお子さんについてご紹介します。

 


発達性協調運動症(DCD)とは

例えば、ボールを投げようとしてもうまく力が入らず地面に落ちてしまったり、走る時にバランスを崩して転びやすかったり、ジャンプの着地が不安定だったりすることがあります。こうした「体の動かし方のぎこちなさ」は、発達の段階でよく見られる一時的な不器用さの場合もありますが、繰り返し見られる場合は「発達性 協調運動症(DCD)」と呼ばれる特性の一つと考えられます。DCDは怪我や病気ではなく、体の複数の筋肉を同時に使ってなめらかに動かす「協調運動」が難しくなる特性です。

そのため、走る・跳ぶ・投げるなどの日常的な動作にも不器用さが表れやすいのが特徴です。DCDは決して珍しいものではなく、学齢期のこどもの数%程度に見られるとされています。しかし、周囲からは「運動不足」「やる気がない」と誤解されてしまうことも少なくなく、気付かれにくいのが現状です。

また、運動が苦手なことにより「みんなと一緒にできない」という思いから自己肯定感が下がったり、友達との交流が減ってしまったりするなど、二次的な影響に繋がりやすいため、DCDの理解と対応はとても重要です。


判断方法

DCDは周囲から特性として認識されにくいため、療育に関わる職員や周囲の大人が理解し
ておくことが大切です。判断の際には、次のような点を確認します。

● 乳幼児期に発達の遅れがあったか
● 日常生活にどのような影響があるか
● 学校や幼稚園、保育園での様子

さらに、運動の種類ごとに以下のような不器用さがないかを見ていきます。

粗大運動: 走る、ジャンプなど体全体を使う動き
微細運動:ハサミや箸など、指先を使った細かい動き
協応運動:目と手を一緒に使う動き、キャッチボールなど

具体的な観察方法の一つに「指鼻指テスト」があります。

指鼻指テストとは、大人が人差し指を出し、お子さんに「自分の鼻」と「大人の指」を交互にタッチし てもらう簡単なチェック方法です。タッチの正確さや速さ、途中で迷う様子があるかどうかを見ることで、目と手の協調の状態を確認できます。例えば、タッチの動きが大きくぶれてしまったり、指を出す 位置が変わると対応しづらい場合は、協調運動に不器用さがあるサインの一つと考えられます。短時間 で行なえるため、療育の場だけでなく、家庭でも遊びの一つとして取り入れることができます。


対応方法

まずは、お子さんが不器用になる場面や動作を整理し、その原因を考えます。

例:縄跳びが跳べない場合

● ジャンプのタイミングがずれる → 縄を目で追えていない
● 縄の回す速さが一定でない → 肩や腕の動きがぎこちない
● 足が引っかかる → 両足でジャンプできていない
● 縄が長すぎる
● 回数が多すぎる

このように原因を一緒に探しながら、お子さん自身が「次はどうしたらいいかな?」と考えられるよう促します。声かけの工夫も大切です。「さっきより高く跳べたね」「今度はタイミングを合わせてみよう」など、ポジティブなフィードバックを心掛けましょう。失敗しても「大丈夫、次に挑戦すればいいよ」と伝えることで、安心して取り組めるようになります。

 


段階的な工夫

難しい動作は、いきなり完成形を目指すのではなく、段階を付けて練習することが大切です。縄跳びでは次のような工夫が有効です。

● 縄を片手で持ち、回す
● 縄が下に来たタイミングでジャンプする
● 両足ジャンプが難しい場合は、カンガルー跳びから始める

お子さんの段階に合わせて難易度を調整しながら、少しずつ「できた」という体験を積み重ねていきましょう。その過程で、自分なりに原因に気付き、体の動かし方を理解できるようになります。

 


今回は、発達性協調運動症(DCD)についてご紹介しました。DCDは目立ちにくく、本人
の運動不足ややる気の問題と誤解されがちです。そのため、療育に関わる職員や周囲の大人が気付き、適切に支援していくことが大切です。お子さんにとって一番の力になるのは、「できた!」という成功体験を一緒に喜んでくれる 大人の存在です。日常の小さな成長を見逃さず、共に喜び合うことが、次の挑戦へと繋がっていきます。今後もこのコラムでは、療育に役立つ情報をご紹介してまいります。

 


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